普通は高校を卒業したら、すぐに自動車学校に通うものだと思っていました。
でもうちの息子は違ってました。
進路が決まり、自動車学校に入れようとしたら、周りも就職や進学が決まったんでしょうね。その時期は教習所も混んでいて入校できず、気づけば夏休み。
「じゃあ夏に行くのかな」と思っていたら、今度は塾のバイトが忙しいっていう雰囲気を出して、入校する気が全くありません。
「自動車が学校行かないの?」と聞くと。
「乗る車もないのに自動車学校に行く意味あるの?」だそうです。
結局、息子が自動車学校に入校したのは、大学2年の4月でした。
私の頃とは、ずいぶん違うんですよね。
私はというと、16歳で原付の免許を取り、
そのまま「早くバイクに乗りたい」という一心で、
バイトをしながらお金を貯めて、
高校卒業と同時に自動二輪の免許を取りました。
車の免許には全く興味がなかったのですが、
大学1年の夏には父親がお金を出してくれて普通自動車の免許も取得。
当時はとにかく「自由に動ける足」が欲しかったんです。
だから当然、息子も同じように 早く免許を取りたがるものだと思っていました。
でも——まったく興味がないみたい。
思い通りにはいかない 「このままじゃまずい」と思い、
半ば強引に自動車学校へ通わせました。
正直、かなり言いました。
一度は思いっきりブチ切れもしました。
それでも本人は、なんだかんだ理由をつけて行かない。
「本当に大丈夫か…?」と不安になる日々。
そんな息子が、
今年の3月に一年かけてようやく教習所を卒業し、
先日、運転免許を取得しました。
すると不思議なもので—— 急に「車に乗りたい」と言い出したんです。
相方に「運転していい?」と聞いたところ、
任意保険が「35歳以上限定」になっていて乗れないと知ると、
普段ほとんど連絡なんてしてこないのに、
「〇〇くんが車に乗るには保険変える必要あるの?」 とメッセージが来ました。

息子からのお願いですからね。
年齢条件を20歳以上に変更。
月々の保険料は、+5000円。
……まあ、そういうものですよね。
世のお父さんたちは、
これに耐えてきたんだと思います。
きっと、うちの父親も。
そして昨夜、塾のバイトに行くというので、
「駅まで送っていこうか」と声をかけたら、
息子が一言。
「父上、行きは私が駅まで運転するから、帰りは父上が運転して帰るでも良いですか?」と尋ねられたので。
思わず「お、おう」としか返せませんでした。
あれだけ行きたがらなかった自動車学校。
あれだけ言って、怒って、やっと取った免許。
でも今は、自分からハンドルを握ろうとしています。
免許を手にしたことで 「自分で動ける」という感覚が、
やっと実感として湧いてきたのかもしれません。
助手席に乗る側から、運転席に座る側へ。
ほんの少しだけ、 長男坊が大人に近づいた気がしました。
免許を取って初めて、父親を乗せた感想はどうだったんだろう。
自分の時はどうだったろうか。
もう覚えてないな。
そうやって、ふと、自分の父親のことを思い出しました。
あの人も、同じような気持ちだったのかもしれないな、と。
そして気づけば自分も、 “送る側”から“見守る側”になっていました。